腎機能障害
腎機能障害患者がインプラントを受けられない理由
インプラントが結合しない可能性がある
腎臓の機能が低下すると、感染症を起こしやすくなります。また、傷が治りにくくなることもあるため、インプラント治療を受けても顎の骨とインプラント本体がうまく結合しない可能性があります。
また、インプラント治療ではメスを用いた手術を行うため、大量出血が止まらないという観点からもリスクがあることを認識しておく必要があります。
術中、および術後の経過に大きな影響を及ぼす可能性が高いため、注意が必要です。
人工透析中は炎症を起こしやすくなる
人工透析を受けるようになると、唾液腺の萎縮がみられるようになり、薬の副作用も相まって唾液の分泌量が健常時の1/4にまで低下してしまうといわれています。口の中が乾燥すると細菌が繁殖し、歯周病やインプラント周囲炎などの炎症を起こしやすくなります。
腎機能障害患者がインプラント治療を受けるには
まずは主治医に相談を
腎機能障害が重度の場合は、残念ながらインプラント治療をうけるのは難しいかもしれません。ただし、絶対に受けられないというわけではありません。上記に挙げた内容は、あくまでもリスクです。 腎機能障害の症状が軽度であれば、問題なくインプラント治療を受けられることもあります。まずは主治医に相談し、治療が可能かどうか検査をしっかり受けてみましょう。
しっかり治療する
腎機能障害に限らず、生活習慣病で治療中の人でも症状が落ち着けばインプラント治療を受けられます。当たり前の話ですが、何よりきちんと病気の治療を受けることが大切です。 近年ではインプラントの材料や技術の進歩によって、治療の適応も広がりつつあります。腎機能障害を患っているからといって、最初から諦める必要はありません。
腎機能障害患者のインプラント症例
義歯、ブリッジに代わる欠損補綴治療法としてインプラント治療が注目されてから、すでに30年余りが経過しました。治療に関するさまざまな研究・開発も、日進月歩の勢いで進められています。 しかし、腎機能障害患者のインプラント治療に関する報告はまだ少なく、長期的な治療成績もほとんどありません。まだ課題の多い分野だといえるでしょう。 特に人工透析は歯科医療で触れることのない分野であり、治療を敬遠されることも少なくありません。とはいえ、実際のところは人工透析患者でも一般的な歯科治療には十分対応可能です。今後は人工透析患者の増加に伴い、医科と歯科が強固に連携して治療を提供していく必要があるでしょう。
参照:血液透析患者と歯科治療(http://www.kisen.or.jp/files/poster_20140508.pdf)