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インプラントが不安な方のための治療事典

怖くないインプラント治療なんてあるのか?

失った歯を自然に補う手術として、定着しつつあるインプラント。しかし、「歯肉を切開」「ドリルで骨に穴を開ける」など、手術に対して痛みなどの不安がある人も多いようです。最近では、不安や痛みに配慮した治療法もあり、その種類はさまざま。適応できるかは顎骨の状態などにもよりますが、インプラント治療は「怖い」「痛い」ばかりではなくなっているようです。ここでは、インプラントが不安だという方に知ってほしい治療法をまとめています。

インプラントが不安な人へ、知っておいてほしい3つの治療法

(切開しない)フラップレス手術

フラップレス手術によるインプラント治療の流れ

フラップレス手術の特徴は、無切開・無剥離・無縫合。通常手術ではメスで歯肉を切開して剥がすところを、フラップレス手術ではパンチやバーなどで一瞬にして歯茎に小さい穴を開けます。骨を歯茎から剥がすこともなく、ドリルでインプラントを挿入。1回法を採用することが多いため、埋入後はキャップを歯茎の上に出し縫合も必要としません。

フラップレス手術のメリット・デメリット

フラップレス手術のメリットは、切開をしないこと。痛みや腫れ、出血量にも考慮した手術といえます。
デメリットとしては、骨を歯茎から剥がさないため直視できず、顎骨の形状を把握しづらいことが挙げられます。インプラント埋入の深さや方向のコントロールが難しいため、高度な技術と経験が必要。また、術前にはCTによる綿密なシミュレーションをおこないますが、実際との差が大きかった場合には通常手術に切り替えることもあります。

治療期間・治療費の目安

骨の状態が良ければ手術当日に仮歯が入れられます。サージカルステント(テンプレート)を使用する場合はさらに費用がかかります。

(ドリルを使わない)O.A.M(大口式)インプラント

O.A.M(大口式)インプラント治療の流れ

O.A.M(大口式)インプラントでは、通常ドリルで骨に穴を開けていくところ、ドリルを使わずに少しずつ手作業で骨に穴を開けていきます。最初は糸ほどの小さな穴を開け、専用器具を使用し手作業で少しずつ穴を広げます。

O.A.M(大口式)インプラントのメリット・デメリット

O.A.M(大口式)インプラントのメリットは、ドリルを使わずに手作業で骨に穴を開けること。神経を傷つける心配も少なく、骨を削る量も必要最低限で済みます。骨粗しょう症の人でも適応できる可能性がある手術方法です。
デメリットとしては、手術時間が長いことが挙げられます。手作業で慎重に穴を開けるため、通常手術より時間を要したり、骨の硬さによっては適用できないこともあります。また、高度な技術と経験を必要とし、すべての歯科医師が施術できるわけではありません。

治療期間・治療費の目安

状態が良ければ手術当日に仮歯が入れられます。
費用は通常のインプラント治療費に10~20万円程加算され、1本40~50万円ほどです。

(手術が抜歯時の1回で済み、すぐに仮歯が入れられる)即時荷重インプラント

即時荷重インプラントの流れ

即時荷重は、抜歯と同時にインプラントを埋め込む抜歯即時法手術と同時に、仮歯を装着する手術の事です。CTでシミュレーションをおこなったあと、抜歯。抜歯後すぐは骨が露出している状態のため、そこにインプラントを埋め込みます。状態がよければ手術当日に仮歯を装着します。

即時荷重インプラントのメリット・デメリット

即時荷重(抜歯即時)のメリットは、抜歯後すぐに行うため歯肉を切開せずに済み傷の回復が早いこと。また、手術が1回で済むため治療期間が短いことも挙げられます。
デメリットとしては、骨量や骨質により適用できない場合があります。また、高度な技術と経験を必要とするため、すべての歯科医師が施術できるわけではありません。

治療期間・治療費の目安

状態が良ければ手術当日に仮歯が入れられます。
通常の費用に加え、50,000円程高くなることが多いようです。

(手術が抜糸1回で済む)抜歯即時インプラント

抜歯即時インプラントの流れ

抜歯即時は、抜歯と同時にインプラント体を骨の中に埋め込む手術方法を言います。診察・検査後、抜歯を行い、骨の状態を確認しつつ、抜歯した穴を整形し、インプラント体を埋め込みます。抜歯をした穴の成型は、ドリルと人工骨の注入によって行います。

抜歯即時インプラントのメリット・デメリット

メリットはなんといっても手術期間の大幅な短縮です。手術の時間が短く患者の負担が少ないのが特徴です。また、手術の回数が減り通院回数も少なく済みます。

デメリットとしてはすべてのケースで対応できるわけではないこと、骨吸収が起こるため、深めにインプラントを埋めねばならず、このため手術に高いスキルが求められることがあります。

治療期間・治療費の目安

状態が良ければ手術当日に仮歯が入れられます。
費用は通常のインプラント治療費に10~20万円程加算され、1本40~50万円ほどです。

(通常のインプラント手術)2回法

2回法の流れ

2回法は、いわゆる通常のインプラント手術の事です。診断・検査後に、1回目の手術を行い、4~6か月間の治癒期間をおいて、再び歯茎を切開し、アバットメント、被せ物の取り付けをします。

2回法のメリット・デメリット

2回法のメリットは、通常のインプラント・すなわち王道の手術方法であり、臨床事例が方法なこと。そして、骨を目視で確認できるため、CTでは築けなかった骨の状態などもすぐに察知できることです。

デメリットとしては、治療期間が長くなってしまうこと、手術回数が多いことなどが上げられます。

治療期間・治療費の目安

平均的な治療期間は6カ月ほど。費用は1本あたり300,000円~400,000円と言われています。

(埋入本数が少ない)All On 4

All On 4の流れ

All On 4は、無歯顎(方顎で、歯が1本も生えていない状態の事)の患者さんに対して、すべての歯を4本のインプラントのみで支えるための施術です。検査をして骨の状態を確認し、手術をします。埋入するインプラント体は4本です。連結した人工歯をインプラントに接続したら完了です。

All On 4のメリット・デメリット

メリットは、埋入本数が少なく体への負担が少ないことです。方顎全ての歯をインプラントにするには、12本入れなければなりませんが、それを4本のみで可能とするため、体にもお財布にも優しい施術です。また、傾斜埋入という方法を用いるため、入れ歯よりも噛む力が強いといわれています。

大きなデメリットとしては、前述の通り、無歯顎の方に対して行う施術のため、歯が残っていたらそれを抜かなければなりません。

(埋入本数が少くしっかりとまる)ザイゴマ(頬骨)インプラント

ザイゴマインプラントの流れ

ザイゴマインプラントとは、All On 4で使用するインプラントの内2本を、頬骨までの長さを使用することで、より強度のあるインプラントを行う施術です。流れは基本的にAll On 4と同じで、検査後インプラントを埋入しますが、ドリリングは頬骨まで穴をあけます。

ザイゴマインプラントのメリット・デメリット

頬骨まで使用するため、通常のAll On 4では骨量が足りない方でも施術可能な治療と言われています。

デメリットとしては、削る骨の量が多くなるため、オッセオインテグレーション(インプラントと骨の結合)を得られるまでの時間が長くなり、その分負担が大きいという点です。

不安や痛みを和らげるために、こんな方法もあります

インプラントの治療には、「恐怖」や「痛み」などの不安を持つ人に適したさまざまな方法があります。通常は局所麻酔で手術を行いますが、機械の音や骨を削る音、その感覚などに恐怖を感じる方も多いようです。そこで、治療中の不安を和らげ、リラックスして手術を受けられる工夫をしているクリニックも多いようです。

静脈鎮静法

静脈内に点滴をして麻酔をする「静脈鎮静法」は、リラックス効果の高い麻酔方法です。鎮静作用に優れ、手術したことを覚えていないことも。ただ鎮痛効果は弱いため、局所麻酔をして補う必要があります。
静脈鎮静法ではリラックスしてぼんやりした状態になるため、歯茎に注射するのが怖い人や、ドリルで削るなどの治療行為に恐怖を持つ人に適しています。
デメリットとしては、治療後も眠気やふらつきが残る場合があります。そのため、自動車や自転車などの運転はできません。
費用は20,000円~50,000円程です。

笑気麻酔

笑気麻酔は鼻呼吸により吸収・排泄する麻酔方法です。ぼーっと気持ちよくなっているうちに手術が済んでしまうというしくみ。眠らずに呼びかけにも応えられ、鎮痛作用に優れています。
麻酔薬の濃度が低いため、呼吸器や循環器への影響が少ないこともメリットのひとつです。
副作用はほとんどないといわれていますが、鼻から吸入するため鼻づまりがあると適用できません。
費用は10,000円程度です。

骨が足りなくてもインプラントをする方法があります

骨が足りないなどの理由でインプラントを断られた人でも、「骨造成」という技術を用いることで、治療できるようになるかもしれません。

学会にもよりますが、骨量不足の症例を一定数経験していることが指導医資格取得の条件の場合もあります。

ここでは、骨不足の患者さんに対して行う施術を紹介していきます。

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骨の厚さ・高さが足りていない場合に行われる施術です。自分の身体の別の部分から採取した骨や人工骨を注入し、骨を再生します。

サイナスリフト

上顎奥歯の部分の骨の厚さが足りない時に行う施術です。そこには上顎洞という骨の空洞のようなものがあります。骨が足りないとこの空洞に奥歯が入り込んでしまい、炎症を起こします。

サイナスリフトは、上顎洞内に、人工骨や自分の骨を移植して、骨を厚くすることで、骨の厚みを確保する手術です。

ソケットリフト

ソケットリフトは、サイナスリフトと同様に、上顎奥歯のインプラントをする際に行われます。サイナスリフトは、上顎洞内に骨を移植して厚くするのに対し、ソケットリフトは上顎洞を押し上げることで、骨の厚みを確保します。

一般的にソケットリフトの方が大掛かりな手術になるといわれています。

スプリットリフト(スプリットクレスト)

スプリットリフト(スプリットクレスト)は、骨の幅が足りない時に行われる施術です。幅が足りないというのは、穴をあけるスペースがないということです。

薄い骨をさらに薄く分割し、骨幅を拡大することで、インプラントを埋入します。