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インプラント治療の禁忌症

インプラントは誰でもできるわけではない

インプラント治療は受けたい方が誰でも受けられる治療ではありません。身体の状態によって受けられないこともあります。理由は大きく2つあり、1つ目は骨量の不足です。顎の骨に十分な骨の量がない場合、インプラントと骨の結合が得られないからです。2つ目は禁忌症です。インプラント治療は外科手術を伴うため、全身疾患にも注意しなければなりません。また、傷の治りが遅くなる疾患などにも注意が必要です。

禁忌症でもインプラントを受けるには

上記のように、インプラント治療が受けられない症状はありますが、対処方法はあります。骨量が足りない場合には、「骨造成(こつぞうせい)」といって、人工骨や自分の骨を移植して足りない部位に補填する方法があります。また、禁忌症でも治療を継続して、うまく病気をコントロールできていれば治療可能な場合があります。

インプラントが「受けられない」と言われた人の費用について

骨造成をおこなった場合には、その料金がインプラント治療費に加算されます。骨造成にはさまざまな方法がありますので、方法によって費用は違ってきます。また、病気をコントロールするためにも治療費用がかかることがあります。しかし、きちんと歯科医院で相談をしておけば、費用見積もりの段階で明確な価格が提示されますので、ほとんどの場合は初期見積もりで収まるはずです。

インプラントの禁忌症一覧

歯周病

歯周病は進行すると歯槽骨(しそうこつ:歯の生えている骨)を溶かしてしまいます。感染している部位を治療しておかないと、インプラントを埋入しても歯周病菌が増殖してインプラント周囲炎を起こしてしまいます。

糖尿病

糖尿病の危険性は、まず手術中に低血糖発作による意識消失が考えられます。また、傷の治りが悪くなっているので、インプラント体との結合が得られない可能性もあります。良好な血糖値コントロールができていれば治療は可能です。

高血圧

高血圧の方は動脈硬化が進行している可能性があり、脳や心臓などに合併症を持つ場合があります。インプラント手術により血圧の著しい変動が起きれば、血管に障害が発生するので慎重な対応が求められます。

貧血

貧血では正常な赤血球が不足して、細胞レベルでの低酸素状態になっていることが考えられます。このことによって、傷の治癒が遅くなり、免疫力も低下しますので、インプラント周囲炎などの感染症が発生しやすくなると考えられます。

心疾患

心筋梗塞発作や狭心症の既往がある方は、インプラントの手術によって発作を誘発してしまう恐れがあります。また、心臓弁膜症では心臓弁への感染症が心配ですので、主治医に相談をして治療の可否を決めてください。

脳血管障害

脳血管障害で多い脳梗塞では、抗凝固薬や抗血小板薬など血流を改善する薬剤が処方されていることが多いです。そのため、手術時には異常出血があり止血できない危険もあります。対応として薬剤の濃度を下げることを検討します。

消化器疾患

胃や十二指腸に潰瘍ができる疾患の場合、胃酸を強力に抑える薬剤を処方されています。インプラント治療では、術後に消炎鎮痛剤などを処方しますが、薬の飲み合わせによっては潰瘍を悪化させることもあるので、注意が必要です。

腎機能障害

腎臓には体内のバランスを取っている重要な臓器で腎疾患があると高血圧やむくみ、心不全などさまざまな合併症を伴います。また、薬剤によって感染症にかかりやすくなることもあるので、十分な検査が必要になります。

骨粗鬆症

骨粗鬆症は骨密度が低下するので、インプラントと顎骨の強固な結合が得られない可能性があります。また、治療のためビスフォスフォネートという薬剤を服用している場合、歯科治療を契機として顎骨が壊死していく危険性もあります。