【特集】切らないインプラントとは?精通する医師が解説
歯茎を切開するというのがなんとなくこわい。手術後に出血したり、痛みが出たり、腫れたりしたら嫌だ。
インプラントが気になるものの、不安があって踏み出せないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、患者さんの心と身体の負担が少なくて済む、歯茎を切開しない「フラップレスインプラント」を得意とする、滝澤医師にインタビュー。
フラップレスインプラントとはなにか、また医師選びの際の判断基準など、詳しく聞きました。
お話を聞いたのは…滝澤 聡明(たきざわ としあき)医師
医療法人社団明敬会理事長。1993年神奈川歯科大学卒業、国際デンタルクリニック勤務を経て、1996年タキザワ歯科クリニック開設。
自院開設後も、最新医療知識の習得や海外の大学での研鑽に日夜励む。
世界最大規模(※)のインプラント学術団体「ICOI」の指導医・認定医の資格を持つことに加え、同団体日本支部の役員理事も務めている。
著書として「1万人の患者を診てきた歯科医が教える 切らない!縫わない!怖くない!フラップレスインプラント」「切らないインプラント施術 フラップレス手術のすべて」を執筆。
事実「日本は先進国の中で最も、インプラントの普及が遅れている」
_滝澤先生はインプラントを専門的に研究・治療されていると聞きました。理由を教えてください。
「インプラントが日本人の歯の健康寿命を延ばすことにつながる」と、確信しているからです。
というのも、僕は歯科医になってまもなく歯を失くした両親にブリッヂを入れたのですが、そのブリッヂは12年ほどで壊れてしまったんです。
ブリッヂは失った歯の両隣にある歯を削り、土台にして、橋のように人工歯を掛ける方法なんです。
土台になる歯が神経も骨もしっかりあるならいいのですが、そうでない場合、たいていはダメになってしまいます。
これに対して「インプラント」は、失った部分に直接インプラントを埋め込み人工歯を取り付けるので、他の歯に負荷がかかりません。
インプラントは、この先の健康を考えても良い治療法で、先進国ではもはや主流になっています。
しかし日本ではまだ入れ歯やブリッヂを選ぶ方が多い。そこで僕は、改めてインプラントを学びなおすことにしました。
_入れ歯やブリッヂよりもインプラントが良いのですね?
いやそれは一概には言えない。条件によりますよ。
全身疾患がひどかったり骨が極度になかったりする場合は適さないし、インプラントは費用もかかりますし。神経を抜いた歯がないとか、ブリッヂする歯以外が残っているといった方は、インプラントでなくても良いです。
僕自身、他の治療をお勧めすることもありますよ。
僕がどんな時も患者さんにお伝えしているのは「絶対にこれがいいなんて治療法はない」ということ。
インプラントがもしベストだとしたら、入れ歯もブリッヂもなくなっているはずじゃないですか。あるってことは必要な人がいるんですよ。
僕は誰にでもインプラントをおすすめしたいというわけではなく、ただ「インプラントがベストな患者さんに、インプラントを届けたい」。そこに尽きます。
できる限りインプラントへの「不安と負担を減らす」方法
_メリットの多い手術なのに、なぜ普及が遅れているのでしょうか。
理由は色々想定できますが、ひとつは「不安」ではないでしょうか。患者さんからしたらインプラントって、僕たち医師が想像する以上に怖いものなのだと思います。
例えばケガをして何針縫ったなんて言ったら、それだけで痛そうだなと思うじゃないですか。切る・縫うって、インプラントに限らずそういうイメージがあるものなんですよね。
いつだったか、一言「切らないインプラントもできます」と公式サイトに記載したところ、たくさん問い合わせがあったんです。「切らずにできるんですか」って。
それから、切開自体への恐怖感や出血・痛みなどがネックで踏み出せない方が多々いらっしゃることを知りました。それから注力し始めたのが「フラップレスインプラント」です。
歯茎を切らない「フラップレスインプラント」
_フラップレスインプラントとはなんでしょうか。詳しく教えてください。
インプラントを顎の骨に埋め込むためには通常、歯茎を切開して顎の骨から剥がす必要があります。身体に大きな負担がかかるので、手術後には痛みや腫れが出るほか、出血をすることもあります。
これに対して「フラップレスインプラント」は、歯茎に小さな穴をあけ、その穴からドリルを入れて顎の骨を削る手術方法。そもそも切開しないため縫合・抜糸も不要で、心にも身体にも負担が少なく済みます。
フラップレスインプラントに伴うリスク
_切らないって、メリットが多いのですね。
ただ、切開しない=「骨を直視せずに手術をする」ということです。
デメリットにもあるように、事故のリスクもあります。
たとえば、インプラントを埋め込む角度や深さを誤り、神経が傷ついてしまった。あるいは、インプラントが骨と上手く結合せずぐらつく。その他、別の歯の歯根に触れてしまい痛みを感じる…など、考えられるケースはさまざまです。
こうした事故を回避するには、手術前に骨や神経、血管などの状態を精密に把握し、インプラントの入れ方をシミュレーションすること。そして何より、医師がシミュレーション通りに手術を行える技術を持っていることが重要です。
ただ当院では、より新しい設備を導入し、全症例のうち8割以上にフラップレス術式を適用しています。
患者さんからは「出血がほぼなくてホッとした」「やってよかった」とのお声も多いです。設備もデータも経験も豊富に揃っていますから、安心してご相談いただければと思います。
インプラント治療における「名医」とは
_先生のお話から、インプラントの良さは十分に伝わりました。
ただやはりリスクが怖いので、できるだけ腕のいい人にお世話になりたいと思うのですが…先生が考えるインプラントの「名医」とはなんでしょうか。
こんなことを言ってしまったら、患者さんは迷われると思いますが、正直なところ「名医なんていない」というのが僕の見解です。
「インプラントの名医は誰か」ってね、「日本一歌が上手い人は誰か」と聞いていることと同じなんですよ。
足の速い人を決めるなら、100メートル走で競えばいい。でもインプラントは、資格は基準がまちまちだし、症例数も医院によって数え方が違うのであてにならない。全医師共通の基準がない。
ちなみに僕自身ICOIという団体の理事を務めているけれど、学会に所属しているからと言って必ずしも名医とは限りません。模試を受けたから頭がよくなるわけではないじゃないですか。それと一緒です。
確かに一定の技術力の保証にはなると思いますが、そこから腕を磨いていくには、普段から勉強すること、医師自身の自己研鑽にかかっています。
本当に技術を磨き続けている医師の特徴
_自己研鑽とは具体的にどういうことでしょうか。
1回いっかいの手術への臨み方、これに尽きると思います。
CTを入念に見てシミュレーションをすることはもちろん、手術中発生しうるトラブルまで想定して、対応方法を考えておく。そして手術後は必ず振り返りをする。
失敗がなくても「もっとこうしたほうが良かった」ということは必ずありますから。
インプラントと一言で言っても、患者さんによって骨や歯茎の状況が違えば、痛みに弱かったり、恐怖心を持っていたり、持病を患われていたりする方もいる。似たケースはあっても、1人として同じケースなんてないんです。
だからより良い医療をお届けしようと本気で思うのならば、毎回振り返りをして自分の中に知見としてためていく。それをまた違う手術で活かしていく。この繰り返しですよ。
その上で1つお伝えできるとしたら「名医にかかりたい」って、要するに失敗したくないとか、希望をかなえてほしいってことだと思うんです。
それなら、きちんとカウンセリングしてくれて、ご自身が不安な点をクリアしてくれる強みがある医師を選ぶのがいいのではないでしょうか。
_なるほど。「自分の不安に応えられる医師か」が重要なのですね。
はい。僕の場合でいうとそれは、「フラップレスインプラント」を通して、患者さんの不安や負担をできるかぎり減らすということになります。
より多くの患者さんへ、より優れた医療を提供したい。そうして日本人の歯の健康寿命を延ばすことに少しでも貢献したいですね。
これからもフラップレスインプラントにますます注力し、腕を磨いていきます。
不安があってインプラントに踏み切れない方は、ぜひご相談に来ていただけたらと思います。
東京日本橋デンタルクリニックの情報
クリニック名 | 東京日本橋デンタルクリニック |
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