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消化器疾患

消化器疾患の患者がインプラントを受けられない理由

術後の痛み止めなどにより潰瘍が再発するリスク

消化器疾患、特に胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの経験がある患者の場合、インプラント手術後に処方される消炎鎮痛剤などの痛み止めによって、潰瘍が再発してしまうリスクがあります。これをNSAIDs潰瘍といって、潰瘍を経験している場合は注意が必要です。

ウイルス性肝炎の場合はインプラント治療は禁忌

ウイルス性肝炎を発症すると、肝臓の機能に障害をきたします。よって、肝炎の活動期はインプラント治療は禁忌で、回復してから治療を受けなければなりません。また、肝炎が進行して肝硬変の状態になると、血液の凝固能力が低下して出血する傾向があるため術中・術後の管理が必須となります。

消化器疾患の患者がインプラント治療を受けるには

術前・術後の投薬に気を付ける

消化器疾患の患者がインプラント治療を検討する際、体調の管理と術前・術後の投薬に気を付ければ手術を受けられる可能性は高くなります。まずはかかりつけの消化器系の主治医に相談し、歯科医師にも自分が抱えている病気について正直に話すことが重要です。

手術室の衛生環境に注意

肝障害の場合は、インプラント手術を行っても直接的な障害は少なく、他の消化器疾患よりもインプラント治療が受けやすいとされています。しかし院内感染のリスクがあるので、手術室の環境状態が整っている歯科クリニックを選ぶことが重要です。クリニックでは、口腔内を削った歯の削りカスや血液、だ液などが様々な機械器具を介して感染症を引き起こす可能性があります。安全にインプラント治療を受けるために、感染対策が徹底されているクリニックを選ぶようにしましょう。

消化器疾患患者がインプラント治療を受けるときの事前検査とは?

消化器疾患患者がインプラント治療を受ける場合は、自己申告だけで済ませるのではなく、事前の検査の実施がトラブルを防ぐことにつながります。事前検査の内容はクリニックによって様々ですが、持病の経過、歯周病・喫煙習慣や、顎の骨が少ない・弱っているなどのインプラント治療に適さない状態を把握するための検査を行います。このとき、歯周病の状態が悪い患者は、インプラント治療の前に歯周病を改善する必要があります。さらに糖尿病や貧血の症状がないかどうか、また肝臓や腎臓が感染症にかかっていないかなど、全身の状態についても詳しくチェック。CT検査で顎骨の形状や骨質を3次元的に解析していき、その後インプラント専用のシミュレーションソフトで設計を進めていきます。

消化器疾患患者のインプラント症例

C型肝炎を患っている44歳の男性患者の症例を紹介します。こちらの男性は重度の歯周炎によって歯を失くしてしまい、咀嚼ができなくなったためインプラント治療を受けました。薬をストップし、血液の状態をチェック。血液が健康な状態になってから手術を実施しました。手術の結果、インプラントにより咀嚼機能は回復。しかし、手術による血液状態への影響がないか、術後もこまめに検査を継続しています。このことから、消化器疾患患者へのインプラント治療は、術前・術後の投薬に気を付けることで受けられる可能性が高くなります。しかし、健康な人と比較するとリスクが高まることは確かであるため、医師としっかり相談のうえ、治療を検討するようにしましょう。

参照:日本口腔検査学会雑誌:インターフェロン療法中のC型肝炎患者に血液検査の結果を考慮してインプラント治療を行った1症例[PDF](http://ir.tdc.ac.jp/irucaa/bitstream/10130/3079/1/5_51.pdf)

参考文献

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